Street Art News Japan x LOOTone インタビュー&プレゼント当選者発表!


Street Art News Japanのインタビュー企画第四弾!今回インタビューに答えてくれたのは、日本人アーティストLOOTone
この才能溢れる日本人アーティストは、今年7月に自身2度目となる現代アート展『LOOTone New Works -ワルい冗談-』(参照)を開催したり、合同展示会『DePART』で圧巻のライブペインティング(参照)を披露したりと、20年に亘り多くのアートファンを魅了し続けています。
読者から寄せられた質問も盛り込んだアートファン必見のインタビューとなっているので、是非お読みください。
LOOToneデザインのiPhone5保護ステッカーのプレゼント当選者は、こちらで発表しております。


Street Art News Japan(以下S):
まずは、ご自身の経歴を簡単に教えてください。
また、いつどのようにしてアートの世界に足を踏み入れたんですか?


LOOTone(以下L):
グラフィティを独学でやりだして、いろいろなことを貪欲に吸収しながら、今現代アートに挑戦しています。電気関係のサラリーマンになり3年経った頃、「あ、これ、自分の人生じゃないなぁ・・・。」って気づいたんです。それで「自分が死ぬまで続けることが出来て、人生に悔いを残さないモノって・・・。」と、探しまわっていたときにグラフィティと出会いました。

S: LOOToneさんは、今年7月に『LOOTone New Works -ワルい冗談-』と題した現代アート展を開催しましたが、ご自身のルーツであるストリートアートという枠を飛び越えて、なぜ現代アートという新たなジャンルに挑戦されたんですか?

L: 僕自身、ストリートアートを始めた最初の時点で、「死ぬまでアートに関わる」と心に決めてストリートアートの世界に飛び込んだので、年齢や社会の変化に伴い自然に現代アートに挑戦するようになりました。しかし挑戦するにあたって、なにをどうすればよいのか全くわかりませんでした。僕の場合、些細なことをきっかけに銀座の画廊を紹介され、現代アートの扉が急に開かれました。人との出会いって本当に大切ですね。

S: 2001年からアパレル・ブランド「DOARAT」の外部デザイナーとしても活動していらっしゃいますが、デザインをする時と、絵を描く時では、心掛けている事に違いはあるのでしょうか?

L: 洋服に使われるデザインの場合、「買われた方がその洋服を着て完成」だと思っているので、「その洋服だけで完成」にはならないように心がけています。自己満足のデザインにならないように気をつけています。絵は自分らしい表現を常に意識しながら、描いています。

S: LOOToneさんは、ご自身の頭の中で綿密に作品のテーマなどを設定してから、イメージを構築していかれるんですか?それとも、その時のフィーリングを大切にして、ラフなどを描きながら作品のテーマを決めていくんですか?

L: テーマの設定やイメージの構築はしてません。ラフも描きません。直接描きながら、どうしたら自分らしい表現になるのか考えます。だから途中で作品を台無しにしてしまい、破って捨てたことが何度もあります。独学なので、このやり方がいいのかどうなのかは分かりませんが、自分に合ったやり方なので。

S: 色に関してしてどのようなこだわりを持って作品を制作していらっしゃいますか?

L: 色に関してはあまりこだわりはありません。ですが、日本人ということもあると思うのですが無意識に、赤、白、黒が多いかもしれません。

S: ストリートに描く時と、キャンバスに描く時では、心掛けている事に違いはありますか?

L: 違いはありません。同じ気持ちで描いています。



S: 自分の為に描く、人の為に描く、現時点では誰の為に絵を描いていますか?また、それは何故ですか?

L: 始めた当初は自分の「幸せ」のために描いてました。今は人の「幸せ」のために描いてます。人の「幸せ」が自分の「幸せ」につながっていることに気づきました。自己満足な幸せを追い求め続けると、それが気づかないうちにエゴに変わり、まわりの人達を傷つけることにも気づきました。

S: 海外のアート作品の真似をするのではなく、日本人としてご自身にしか描けない独自のグラフィティのスタイルを発展させていくことが重要であると過去に発言されていますが、LOOToneさんが考える日本人にしか描けないアート作品(グラフィティ)って具体的にどんなものだと思いますか?

L: 僕自身グラフィティを始めるときに「世界で通用するレベルに高める」と決めて、グラフィティに取り組みました。やっていくうちに世界と対等に戦えるグラフィティを描くには、まず「日本人としての誇りと原点」を学び直さなければならないことに気づき、「日本」についての勉強を始めました。結局、極端な右翼思想がついただけでしたが・・・。(今は偏った思想は危険なことに気づいたので大丈夫です。)でも、その時の「日本」についての勉強で、「外国から来たモノでも日本人特有の感性のフィルターを通って生み出されたモノは独自のモノになる」と分かったのです。日本人だから漢字を使わなければいけない、漫画のキャラクターや侍を描かなければならない、という表面的なものではなく、「自分らしく表現できたモノ」が日本人の自分にしか描けない作品になるということです。今では「そんなこと当たり前だろ!」と言われますが、今よりも情報が少ないなか、独学でグラフィティと、日本の勉強をやっていた自分にはかなり衝撃的でした。現代アートに挑戦している今も、より「自分らしい表現」とは何かと常に模索しています。

S: ブログでは、ネットから引っ張ってきた情報を抜粋して発信されていますが、アーティストにとって絵を描くこと以外に言葉で何かを的確に表現できる力を持っていることは重要だと思いますか?また、絵だけなく言葉での表現展開を考えたりしていらっしゃいますか?

L: 言葉での表現展開は考えていませんが、自分の描いた絵を言葉で客観的に説明できるということは、今後絵を続けていくうえでとても重要だと思います。その訓練として、ブログがあるのかもしれません。

S: LOOToneさんのアーティスト名の「LOOT」には「略奪・戦利品・お金」などの意味があるとのことですが、それらの意味の一つである「お金」とアートの関係についてはどのようなお考えを持っていらっしゃるか教えてください。

L: アートをやり続けて分かったのは、アートは自己表現の場でもありますが、それは表面的なもので、それを越えて一歩奥には入ると一般社会よりも厳しい「金・金・金」の弱肉強食の世界が広がっているということです。長く続けていくには、アートを「ビジネス」の材料としてみれるかどうかが重要になってくると思われます。

S: LOOToneさんがグラフィティを始めた20年前と現在では様々な面が変化したと思うのですが、この20年の間で最も大きく変化した点はどんなところだと思いますか?また、最近の日本のグラフィティアートについてはどのような印象をお持ちですか?

L: 以前よりも情報過多になり、飛び交い、いろいろなジャンルの境界線が薄くなってきました。グラフィティやストリートアート、現代アートの定義が難しいぐらい流動的で複雑にからんだ時代になったと思います。グラフィティアーティストが壁にグラフィティだけを描いていればよい時代は終わったのかもしれません。日本のグラフィティアートについては、今も模索しながら絵を描いている僕からは何も言えません。

S: アート以外に興味があることがあればを教えてください。

L: いろいろな人の内面(考えや思想、その内面を作った環境など)に興味があります。ですが、それは僕自身、絵を描くのに必要なことなので、結局はアート以外に興味がないのかもしれません。



S: 今後の活動予定について教えてください?

L: さらに現代アートをつきつめていきます。

S: 最後にLOOTone作品を愛する日本のアートファンへメッセージをいただけますか?

L: 最後までインタビューを読んでくださり、ありがとうございます。僕自身、いろいろな方々に支えられて、絵を描かさせていただいてます。そのことに気づいたとき、感謝の気持ちとともに後戻りはできない前に進む覚悟の気持ちが強くなりました。「知る」のではなく、「気づく」。いろいろな事に気づいた時、良い意味でも悪い意味でも以前の自分には戻れません。でも気づいて前に進むしか(絵を描き続けるしか)不器用な自分にはないのだと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

【LOOTone(ロートワン)】
石川県金沢市生まれ
アート歴[グラフィティ、ストリートアートを含む] 約20 年
<略歴>
2001 年 アパレル・ブランド「DOARAT」の外部デザイナーとして活動。(以後、現在に至る)
2002 年 〈COOL@JAPAN 2002〉にて車にペイント 香港
2003 年 池尻 Bar「Julep」にて個展 東京
2004 年 池尻 Bar「Julep」にて個展 東京
2005 年 フジテレビ番組 NONFIX「ストリートペインテイング」出演
2006 年 「TATTOO SUMMIT vol.7」にてライブペイント 愛知
2009 年 個展 ガレリア・グラフィカbis 東京
             東京コンテンポラリーアートフェア2009(TCAF 2009) 東京美術倶楽部
 2010 年 Art Taipei 2010 台湾
 2013 年 個展 ガレリア・グラフィカbis 東京
              ロックイベント A.V.E.S.T project Vol.6にてライブペイント(渋谷AX)
             「DePART」合同展示会にてライブペイント(ラフォーレ・ミュージアム原宿)
             Art Taipei 2013 台湾

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