来日中のアートデュオSTATICのインタビューが届きました!
ロンドンを拠点とするアートデュオSTATIC。現在来日中のSTATICの二人(トム・クレイグ)の興味深いインタビューが届きましたので、ご覧下さい。
インタビュー Part I
『結成10年目と新作について』
A うん、われわれとしてもちょっと驚いてる。スカボロー(英北部)の薄汚いフラットからキャリアが始まったときは、ロンドン拠点に活動して日本やアメリカ、シンガポールなどに行けるなんて思ってもみなかった。始めはシルクスクリーンの刷り方も手探りだったけど、今ではいろんな素材にチャレンジできるようになった。こうして好きな職に就き、いろんな国の人たちと会えるなんてほんと幸せなことだよね。
Q2 今回新しいスタイルに挑戦していますね。7,80年代の初期テレビゲームのようなイメージを使い、アクリル板を何層にも重ねたレイヤー作品のことですが、このアイデアが生まれた経緯は?
A テレビゲーム創世記の8ビットゲームがインスピレーションの源なんだけど、神話や冒険といった少年たちがワクワクするトピックや、容量制限から生まれたシンプルならではの美しいデザイン性が、熱中した当時のファンのみならず若い人たちをも惹きつけるんだと思う。ゲームの常套句を人生に置き換えてもいいよね。「どのくらい生き残れるか?」「どのくらいのレベルに到達したか?」など。小さい頃、スカボローのゲームセンターや友達の家でゲームの腕を競い合ったことを思い出すように、我々ほか世界の多くの人々にとって繰り返し語られるテーマとシンボルだと思う。我々はそこに新たな道として、アートにゲームの要素を取り入れた《アーケード*》を作り出して、みんなに楽しんでもらおうと思うんだ。(*註 ゲームセンターは英語でamusement arcade)
Q3 前回来日した4年前から、あなたたちのキャリアとそれを取り巻くストリートアートの環境がどのように変わっていったか教えて下さい。
A なかなかうまく答えるのが難しい質問だけど、大規模な個展やプリント販売などが以前より少なくなっているように見えるね。ただ、大規模なストリートアートのフェスや、ワールドワイドなアーティストたちによる野外でのスケールの大きなプロジェクト等、エキサイティングなイベントが世界のあちこちで行われている。ここ3、4年の間、我々はストリートでの壁画よりもギャラリーでの展示作品制作や、さまざまな実験に重点を置いてきたけれど、去年あたりからストリートでの壁画制作にも再び力を入れ始めたんだ。その中のひとつが2階建てサイズの「ゲーム・オン!」だね。日本でのツアーから帰国後、次の壁画は日本でも制作予定の「シャンティ」をベースにしたイメージを描くつもりだよ。
Q4 今回発表の新作で最も完成が難しかったものを教えて下さい。
A レイヤー作品、とりわけ「ひまわり」かな。ただ「シャンティ」も違う意味で難しいよ。配色と重ねながら完成へと向かってゆくわけだけど、人間というのはあと少し、というところで失敗をしたがっているみたいなんだよ!
Q5 その形にするのがという難しいレイヤー作品ですが、それでもあなたたちが惹きつけられる理由はどんなところでしょう?
A レイヤー作品を発表したのは2010年、初来日する前のロンドンでの個展が最初。以降、改良を重ね、スタティックならではのレイヤー作品を確立しようと努力してきたよ。何層にも重ねられたイメージは、見る人によって影や光の反射のよう自在に変化し、平面にはない深みの加わった全体像を見せてくれるんだ。作業の複雑さに関して言えば、ステンシルを切る作業もレイヤーを重ねる作業も根気が要るもので、間違ってしまったら丸一日棒に振ることもある。その忍耐力が我々の宝物となってくれたら・・と、そう願ってるよ!
Q6 2016年の予定を教えて下さい
A 言うまでもなく今開催中の広島、来週開催される東京での展覧会のための来日が次に控えたビッグな出来事だね。17日にロンドンを発ち、月末に帰国するまで広島で2日間(20、21日)、東京で5日間を壁画制作や来日記念版画制作コラボレーション(27、28日)を行うことになっている。ロンドンに戻った後はシカゴでのグループ展や、2階建てサイズ「ゲーム・オン!」を手掛けたロンドン東部ウッド・ストリート・ウォールズでの屋内外壁画制作ほか、突発的なイベントも含めいろいろ活動してゆく予定なので、スタティック・スタジオから発信されるニュースを逃さぬよう、チャンネルはそのままに!
インタビュー Part II
『トムとクレイグへのちょっとした質問』
Q7 今までもっとも後悔したことは?
トム(以下T) 10年前、当時400ポンドだったバンクシーのプリント「LAUGH NOW」*を買わなかったこと。(*註 昨年1月、ロンドンでのオークションで、16,000ポンドで落札されている)
クレイグ(以下C) フランス人の言葉を借りるなら「NON, JE NE REGRETTE RIEN!(後悔は一切なし)」
Q8 今最も食べたいもの、あるいは飲みたいものは?
T これは日本食に限定しないとね。餃子(訳者註*中華料理ですけど)。日本で好きなだけ食べる日を待ちきれないよ。
C エンプレス・グレイ・ティー
Q9 今最も好きな曲は?
T ミステリー・ジェッツの「テロメア」。
C スタジオでBBCのラジオを流してたらひとつの音が耳を捕えてきたんだ。BEの「イントロ」という曲だよ*(*註 原文参照)
Q10 見知らぬカップルがあなたたちのスタジオの前で、一時間以上大声でケンカをしています。解決策を教えて下さい。
T 窓を閉めてラジオのボリュームをあげる。
C ケンカの内容によるかな。僕らはいつもステンシルで星やハートを切り取っているから、それらを彼らに撒き散らして、争いがおさまるかどうか見届けるよ。
Q11 偶然500ポンド(現レートで約80,000円)の入ったスーツケースを見つけました。中には「おめでとう、あなたのものです!」と記されたメッセージが。あなたはどうしますか?
T 過去に戻ってバンクシーの「LAUGH NOW」を400ポンドで買う。残った100ポンドでありったけの餃子を食べる
C ステーキレストラン、ホークスムーア*に10名で予約してともだちとの宴を楽しむよ。(*註 ロンドンの大人気店で今一番予約が取れないとされる)
インタビュアー(翻訳):ギャラリーかわまつ 川松氏
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