【スペシャル企画】Street Art News x Pøbel(Pobel) インタビュー
今回、我々Street Art Newsのインタビューに答えてくれたのはノルウェーを代表するアーティストPøbel!
インタビューでは、アーティスト活動を始めた切っ掛けからドキュメンタリーフィルム"Living Decay"の裏話まで、これを読まずしてストリートアートファンと言えるのか!?というぐらい充実した内容となっています!
これは絶対に見逃せないインタビューだ!!
S: あなたの創作活動にコンピューターは必需品ですか?
また絵の描き方はどのように学んだのですか?
S: 一緒に作品を制作してみたいストリートアーティストはいますか?
インタビューでは、アーティスト活動を始めた切っ掛けからドキュメンタリーフィルム"Living Decay"の裏話まで、これを読まずしてストリートアートファンと言えるのか!?というぐらい充実した内容となっています!
これは絶対に見逃せないインタビューだ!!
Official site: http://www.pobel.no/
StreetArtNews(以下S):
まずは、ご自身の経歴を簡単に教えてください。
また、いつどのようにしてストリートアートの世界に足を踏み入れたんですか?
また、いつどのようにしてストリートアートの世界に足を踏み入れたんですか?
Pøbel(以下P):
実を言うと僕がアートの世界に興味を持ち始めた頃は、まだ『ストリートアート』っていう概念が僕にはなくて、ただステンシルというアートの技法に夢中になったのが始まりかな。ステンシルに初めて興味を持ったのは実は友達が着ていたTシャツのデザインからなんだよね。若い頃、僕はレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(以下レイジ)っていうアメリカのロックバンドが大好きだったんだけど。ある日友達がレイジのチェ・ゲバラTシャツを着ていて、そのゲバラの顔が白黒でとてもかっこ良くデザインされていたんだ。それを見たとき『なにこれ?どうやったら白黒でこんな表現が出来るんだろう?』って思ったんだよ。(あの頃はまだ若くて無知だったんだね)そこでその友達が『写真の陰影の部分だけを描けば、同じ様な効果が得られるんじゃないかな?』って教えてくれて、そこから僕のステンシル・ライフが始まったんだよね。数回挑戦したら、だんだん慣れてきて。それからはもう新聞から、雑誌から、バンドポスターまで色々な写真の陰影の部分を描いては切り、描いては切り、もう夢中だったね。自分でもあの頃は、切り絵オタクだったと思う。それが1998年から99年頃の話で、その頃まだ僕は『ストリートアート』っていう言葉さえ知らなかったんだけど。それから数年後、海外にはストリートアートっていうシーンがあって、僕以外にも『オタク』がいる事を知ったんだ。そして2001年から2002年頃、徐々にストリートに自分の作品を描くようになっていって。でもその頃はまだ今のようにGoogleで検索すればステンシルの技法がすべて分かるような時代じゃなかったから、本当始めは手探りで、技術を体得するのに長い時間が掛かったんだよね。今じゃ、初めてで20レイヤーに挑戦する若者もいるって言うのにね!そして特に難しかったのがストリートでステンシル作品を描く為の技術とセンスの会得。イリーガルだから難しいっていうのもあるんだけどね!今じゃ、ステンシル・アーティストの間じゃ当たり前の事だけど、ステンシルの隅に小さな穴をあけてそれを照準にして、ステンシルのレイヤーを重ねて行くっていうやり方を発見するのに2年くらい掛かったかな?(笑)そしてそれからもステンシルを続けていて、2004年、遂に奴らとの出会いが訪れたんだよね。ステンシルアーティスト、StrokとDolk!
P: 人々が作品を通じて、何かしらの感情が沸いてきたり、あわよくば、何かを考える切っ掛けを与えたりできるような作品を制作したいと思ってる。
S: 作品を通して表現したいことは何ですか?
S: 作品を通して表現したいことは何ですか?
P: それは作品によって異なるんだけど、基本的には憂鬱な感じのイメージを好んで使う事が多いかな。でもその憂鬱な感じのイメージも、決してネガティブな意味合いで描いている訳じゃなくて、希望や楽観的な意味合いを含ませて表現するように心がけているかな。それと、ここ数年は、描いた作品と同じ位、その作品を撮影した写真も大切にするようにしている。最近僕は誰も行けない様な僻地(へきち)に作品を描く事が多くて、そうなると人々は実際にその作品を見る事は困難だよね?だからその作品をカメラで撮影して、写真として人々に披露するんだけど。そうなるともう写真自体がアート作品になってくるんだよね。僕が自然界に描くペインティングはそれだけでは何の意味もなさなくて、周りの風景があってこそ生きてくると思うんだ。だから最近は風景と僕のペインティングを融合させた、非日常的な写真を残す事に夢中だね。普段オフィス街で働いていると結構ストレスも多いと思うんだけど、そんなオフィスでは日常的な風景もノルウェーの大自然のなかに置いてみると、なんか笑えて、、、例えば、給水機の横で談笑しているスーツの人達ってオフィスでは普通の光景だけど、大自然の中に描くとなんとなく笑える!(笑)なんかこんな風に現代社会を風刺してると僕ってヒッピーみたいだよね。まぁでも、これが僕の心理で、最近は本当にこの写真とペインティングの融合に魅力を感じてる。
S: 作品のイメージはどのようにして生まれるのですか?
また、どんな時にインスピレーションが湧きますか?
P: 僕は、サイトスペシフィック・アートが一番好きなんだ。だから、最初に作品を描く場所を見つけて、それからその壁や周囲の景観を踏まえて作品のイメージを作り上げていく。なので、僕にとっての最大のインスピレーションは、自然と都市生活における対比にあるんだ。僕は、都市生活において馴染みのあるイメージを都市空間とは程遠い自然の中に置いてくることが好きなんだ。自然界の中に普段は見慣れた光景をはめ込んで、その風景を冷静に見てみると、なんか凄いその見慣れた光景が馬鹿げて見えるんだよね。
S: あなたの創作活動にコンピューターは必需品ですか?
また絵の描き方はどのように学んだのですか?
P: 僕がステンシルを始めた頃は基本的には写真の上にそのままステンシル用の陰影を描いて、それをカットしてたんだけど。だんだんそれだけでは表現に限界を感じてきて、飽きてきたんだよね。だからその後はマイクロソフトのペイントプログラムを試したりもしたんだけど、最終的にはやっぱりフォトショップが一番使い易いかな。僕の作風の場合は特にフォトショップがあろうがなかろうがそれほどの違いはないんだけど、あったらあったでやっぱり作業スピードは格段に早いと思う。ちなみにステンシルをカットする行程でコンピューター(機械)を利用する事はまずないね。ステンシルの楽しみってやっぱり手作業でのカットだからね!
S: ご自身の作品に最も影響を与えている人物を教えてください。
また、最近のお気に入りのアーティストはいますか?
また、最近のお気に入りのアーティストはいますか?
P: 最も大きな影響を受けたのは、前述にも登場したレイジのTシャツを着ていた友人だね。それと、2001年にBanksyの作品を実際に見たことは、衝撃的な経験だったね。ストーリーを伝えたり、作品に何かしらの意味を持たせるといった彼の表現方法をその時知って。それからは、僕も作品に意味を持たせるようになったんだよね。あとは、ノルウェーのブラックメタルも、僕に素晴らしいインスピレーションを与えてくれるよ。最近、お気に入りのアーティスト(彼らは、すでに長いキャリアを持っているけれど)は、E.B.Itso、Adams、Akay、Brad Downey、Escif、Horfee、Elmgreen & Dragsetだね。
S: ノルウェーは、大国ではないにもかかわらず、多くの素晴らしいストリートアーティストがいますが、それはなぜだと思いますか?
S: ノルウェーは、大国ではないにもかかわらず、多くの素晴らしいストリートアーティストがいますが、それはなぜだと思いますか?
P: たまたまじゃないかなぁ。だって、ノルウェーには、ストリートアート・シーンというものは、一度だって存在したことがないからね。僕が知っているアーティスト達は、それぞれ異なった理由や場所で自発的にアーティスト活動を始めているからね。
S: 2008年、あなたは、Dolkとともにノルウェーのフィヨルドにある廃墟と化した家々に作品を描きましたよね。そして、その様子が収録されたドキュメンタリーフィルム"Living Decay"(参照)も公開されました。もしよろしければ、このプロジェクトの裏話をお聞かせいただけますか?
P: あのプロジェクトの始まりは確か2006年だったかな。当時、僕と友人は、廃墟と化した家々に作品を描くことで、もっと多くの人にノルウェー北部の過疎化問題に興味を持ってもらえたらと思い、『Ode Dekor (Desolate decoration/荒廃した装飾)』という名のプロジェクトを立ち上げたんだ。僕達は、まず一軒の家にペイントを施すことから始めてみたんだけれど、開始してすぐに何か物足りなさを感じて。「これじゃ駄目だ!もっと大きな事をやって、インパクトを与えないと何も変わらない!」って思って、そこで少し方針を変えてみたんだよね。そこで計画したのは、アートフェスティバル形式のイベントにして10〜15人位のアーティストを集めて、1、2週間位の短期間に廃墟と化した家々の壁にみんなで作品を描きまくろうって思ったんだ。それで、フェスティバルを開催するための準備を始めたんだけど、あまりに膨大な労力を要することが分かって。そこでDolkにプロジェクトの参加及びフェスティバルの準備を一緒にやってもらえないかって頼んだんだ。その後、Dolkの参加が決定し、僕達は、プロジェクト名を『Ghetto Spedalsk(ゲットー感染病)』に変更した。翌月、僕達は、作品を描く家を探したり、許可を取ったり、フェスティバルの開催計画を論理的に組み立てて行く為にロフォーテン諸島を訪れたんだ。2007年、僕達は、ロフォーテン諸島に2ヶ月間滞在し、最初は退屈な書類仕事を行っていたんだけど、その作業を終えた後は、僕とDolkは、各自一軒ずつの家に作品を描いたんだ。次の年(2008年)も、たいだい同じような感じだったかな。でもその年にはDavide Fasoloが短いドキュメンタリー映像("Living Decay")を制作してくれたのを覚えてる。それで、まぁ色々な諸事情があってアートフェスティバルは開催出来なかったんだけど。その最大の理由はロフォーテン諸島っていう場所は土地が広大過ぎて、フェスティバルを運営するには管理体制が整えられなかったんだよね。結局、僕達だけで多くの家に作品を描いて、そのプロジェクトはそこで一旦終焉を迎えたっていう感じかな。そして2011年、僕は、ヴァードーと呼ばれる街からの招待を受け、実際にヴァードーの街を見て、ロフォーテン諸島と同様の問題を目の当たりにしたんだ。この街もここ10~20年で、急速に過疎化が進み、苦しんできたようなんだよね。街を見たり、地元の人達と会って、僕は、ここヴァードーでフェスティバルを企画することを決意したんだ。そのフェスティバルの名前は、『Komafest』、詳細はグーグルで調べてみて!このフェスティバルには、ROAを始め、Steve Powers、Vhils、Atle Ostrem、Horfee、Ken sortais、Conor Harrington、E.B. Itso、Husk mit navn、そしてRemedとかなり凄いメンバーが参加してくれたんだよね。
※ヴァードーで開催されたアートフェスティバル『Komafest』の様子は下記のURLからご覧いただけます。
http://blog.vandalog.com/2012/08/waking-up-vardo/
※ヴァードーで開催されたアートフェスティバル『Komafest』の様子は下記のURLからご覧いただけます。
http://blog.vandalog.com/2012/08/waking-up-vardo/
S: 一緒に作品を制作してみたいストリートアーティストはいますか?
P: Elmgreen & Dragsetと一緒にプロジェクトを行うことができたらクールだね。
S: アート以外に何か興味があることがあれば教えてください。
S: アート以外に何か興味があることがあれば教えてください。
P: 音楽、あとはたまにパラクライダーもやるよ。。。まぁ、そんなに面白くはないんだけど。
S: 日本の文化、例えばアート、映画、アニメなどに興味はありますか?
P: 日本映画は、クールなものが多いね。『それでも僕はやってない』は、すごく面白かった。あとは、素晴らしいタトゥーアーティストが多くいるよね。正直、日本のアートシーンについては、よく知らないなぁ。それと、マキシマム ザ ホルモンとMelt-Bananaは、すごくいいバンドだね。
S: 2013年の活動予定について教えてください?
S: 2013年の活動予定について教えてください?
P: 来週、ヴァードーに戻って、フィンマルク高原にある家々にさらに作品を描こうと思ってるんだ。あと、『Komafest』プロジェクト絡みで、また新しいことを企画したいとも考えてるよ。
S: 日本のストリートアートファンへ一言お願いします。
※Pøbelから日本のストリートファンへのメッセージは、上記の音楽の中に込められているようなので、是非チェックしてみてください!
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