Roamcouch 新作ミューラル『When you wish upon a star-London』、岐阜県瑞穂市に誕生&スペシャルインタビュー!


日本が誇るステンシルマスターRoamcouchが、『When you wish upon a star-London』と題した新作ミューラルを彼の地元である岐阜県瑞穂市のストリートに誕生させました!
今作は、先日発売された『When you wish upon a star/星に願いを』 (参照)の連作となるアート作品です。
そんな才能溢れる日本人アーティストが、Street Art News Japanのインタビューに答えてくれました。インタビューは、壁画を制作するに至った経緯から今後の予定まで、大変読み応えのある内容となっているので、是非お読み下さい。
こちらのミューラルは、PLANT-6 瑞穂店(住所:岐阜県瑞穂市犀川5丁目38番地)でご覧いただけます。
 

Street Art News Japan(以下S):
まずは、壁画を完成させた率直な感想を聞かせてください。

Roamcouch(以下R):
今回、上と下で別けてステンシルを作ったんですが、それが全部で80枚以上あったんで、これだけの数は今まで経験がなかったので、どんなふうになるのかなと。それがとにかくやってみたらきれいになってくれたので、安心したっていうのが一番最初に思ったことですね。

S: キャンパスに向かうのと壁に向かうのとでは気持ち的に違うものなのですか?

R: 壁画は売り物ではないですよね、誰かの手に渡って、その人だけのものっていうものではないので、そこらへんがちょっと違う感覚ですね。なんていうのかな・・・


S: 公の物という感覚でしょうか?

R: そうですね、公共のものを作っているかのような・・・ブランコとか滑り台とかを作っているような感覚ですね。キャンパスのほうは、もっとその絵の中に自分の想いや魂みたいなものを1点集中っていう感じなんですが、それは壁も同じなんですが、それプラス個人的な感じではなく、公共物を作らせてもらっているっている感覚ですかね。

S: 作品を制作するプロセスなど根底にあるものは同じだけれど、ターゲット自体が気持ち的に違うということでしょうか?

R: そうですね、やっぱりアーバンアートとかグラフィティアート、アートというも の自体にあまり興味を持っていない人達が多く絵を見ると思うんです。キャンパスは、逆で、そういうのに興味があって手にとってもらえるっていうところがあるじゃないですか、なので、そこが一番違う感じですね。作っているところを見ている人も老人の方とか小さい子とか主婦の方とか、なにしてんだ、この人は!?っていう(笑)

S: そんな反応だったんですか?

R: そうですね、田舎ということもあって、何しているのか分からない、工事をしているのかな?という感じから始まって、絵がだんだんできてきたら、見ている人もなんか作ってるのかなっていう感じになって、最後の色を入れる段階までいったら、みんな立ち止まって見てくれるようになりましたね(笑)



S: 絵が完成に近づくにつれて地元の人達も楽しみ始めてくれたっていう感じですか?

R: 最後は、携帯でパシャパシャと写真を撮ってくれたりしましたね。はじめのほうは不審者がられました、なにしているか分からないっていう、そういう感じでしたね(笑)

S: 壁画を制作し始める前は、完成するまでに1ヶ月ぐらいかかるんじゃないかっていうお話をしていましたが、かなり短期間で完成に至りましたが、その理由を教えてください。

R: 一番最初に『Rainbow inc.』(参照)をやった時に思ったんですけど、風がとにかく厳しくて・・・僕の場合はステンシルが薄いので風が吹くとビタビタとなってしまって、ステンシルがつけにくいのとスプレーを吹きにくいので、細かいニュアンスが出せないんですよ。なので、風が吹いたらやれないという、もちろん雨はやれないですし。今回は、大きな衝立を買ってきまして、その大きな衝立を風除けにしてやりなが ら、衝立が風で倒れながらもやってみたっていう感じですね。とても風が強い場所だったので・・・。

S: 今回は、創意工夫をされて制作されたんですね。だいたい1週間ぐらいで完成したんですか?

R: そうですね、初めは体のこともありますし、そんなに長いことできないかなっていうのもあって、1日2時間とか3時間とかしかできないかなって思っていたんですが、そこは天気が良かったのと体の調子も結構よかったので。なので、日が昇る時から日が落ちる時までずっとそこで作業ができたら早く終われるんじゃないかなっていうのが実現できたっていう感じですね。朝6時ぐらいに行って、夕方の4時ぐらいまでやってくるという、それを1週間ぐらい続けたっていう感じですね。


S: 今回の壁画を制作するに至った経緯を教えていただけますか?

R: 地元の小さい子やこういう世界を知らない方に壁画を見てもらいたくて、近場で壁を探していたんです。そんな時にとてもいい壁と場所、さらに景観もいい壁を見つけたんです。親子連れや老人の方、ジョギングをする人とかも通る場所だったので、そこに壁画を描けたらいいなということから始まったんです。それで、ダメもとでそこの壁の所有者から調べ出して、はじめはメールでこういうものなんですけど、こうこうこういう気持ちで描かせていただけないですかっていう突撃みたいなふうにしたんですけど。それで、ちょっと面白そうなんで話を聞かせてもらえますかっていう話になったんで、実際に足を運んで自分の気持ちを伝えさせてもらったっていう感じですね。自分が小さい時にこういう世界に触ふれられなかったですし、やっぱり美術っていったら学校で教えてもらうことがすべてだったんで。都会でそういうものに触れられるような世界で育ってきていなかったんで、そういう自分が意識しないところで小さいお子さんが、僕の壁画に目に留めてこれなんだろう?っていう興味を持ってもらった時に全く新しいものを感じるのではないかという、そういうことを一番やりたかったんです。そのことを今回描かせてもらったショッピングセンターの社長の方に説明したところ、「それはとても良く分かる。絵のことは私はさっぱり分からないけど、絵自体も絵が分からない私が見てもいいなと思えた。」っていう話をしてもらえたんです。それで、やってみてくださいっていう話をもらったんで、それから今まで用意してきたステンシルを切り出して、始めさせていただいたって感じですね。

S: 今お話してくださったコンセプトをもとに作品のイメージを作り上げていったということですか?

R: 元々、前回制作した『When you wish upon a star/星に願いを』(参照)は、連作として作るつもりだったんです。今回のLondonは、1作目のニューヨークを作っているときに頭にあって。そんな時、私がお世話になっているmudobが今年で5周年だということで、5周年の記念になるような絵を作ってくれないかなっていうお話がありました。それで前々から頭にあったLondonと、5周年の記念とを併せてみたらどうかなと思って、今回の絵になったという感じです。それから、それを今度はなんかこう違法な感じではなくて、ちゃんと許可を得て描けないかな、と考えが変わっていってですね、それで丁度さっき言ったコンセプトに近い絵じゃないですか、子供の絵ですし。なんか夢と希望じゃないですが、テーマも分かりやすいし、いろんな方に楽しんでもらえるんじゃないかなと思ったんで。絵の事が解らないっていう方でも、もしかしたら、あ、いいなーって想ってもらえるんじゃないかって思って。それからイメージを見てもらったらOKが出たので、それならということで自分が進めていたステンシルを作る作業を進めて行きました。


S: 今後、同じようなスタイルで壁画は描いていこうと思っているんですか?

R: 今回、80版以上のものをやってみて、これならなんとかできるなっていうことを思ったので、さっき言った3部作の最後の作品も隣に描かかせていただけないかっていう話を社長の方に昨日したんです。そしたらとても喜んでもらえて、また描いてほしいと言われたんです。ちょうど隣の場所が空いていてですね、絵も連作なので関連性があるので、隣に並んでいたらとても素敵かなと。大変ですが、はじめからもう一回やろうかなと思っています。これが壁画を描く予定の一番近い計画ですね。それまで、壁画が残っていたらいいんですけど。(笑)

S: 公表できる範囲で今後のアーティスト活動の予定を教えていただけますか?

R: 来年のいつになるのか分からないんですが、いい人といい場所に出会うことができまして、初めてソロショーというものをやらしてもらおうかなっていうことを考えています。私の価値観の根底にある場所ともいえるニューヨークのブルックリンでソロショーをやらせてもらう計画があるんですが、私の制作スタイルはやっぱりすごく時間がかかりますし、いつっていうのははっきりと言えないんですが、来年にはやれるように現地のスタッフと話をしながら進めているところですね。
 

 


コメント

このブログの人気の投稿

ストリートアート好きに捧げる【イタリア、ミラノ散策ガイド】

Ron English 最新ストリートピース in ロンドン

Sainer x Bezt 新作ミューラル In カザン (ロシア)